Y2024 Chairman’s message
2024年、世界経済のけん引役であるアメリカは移民流入の増加による労働力、消費力のうわぶれにより物価上昇を上回る名目賃金上昇、貯蓄取り崩しによる個人消費は拡大傾向が続いています。また設備投資も半導体法の効果が継続し緩やかではありますが引き続き増加の傾向にあります。このような力強い国内需要を背景にアメリカの景気拡大は継続しています。
ユーロ圏や英国においては消費者の購買力は弱いものの、物価上昇を上回る名目賃金上昇などを受けて、景気は総じて底堅い動きが見られました。
一方で中国においては政府補助による自動車販売の増加、製造業の投資、インフラ投資の増加により景気に持ち直しの兆しがみられていたものの、不動産市場の低迷により構造的に内需は力弱く、景気は足踏み状態となっています。
このような世界景気の状況下で当社の主力事業であるPrinter事業は新型コロナウイルスの完全鎮静化によって職場内でのPrinterの共有化使用、AIをはじめとする企業および消費者のデジタル化によるPaper Less作業推進、そして印刷紙の価格高騰など、Printerの需要が落ち込んできたことによりPrinter事業は昨年度比で減収となりました。また自動車関連事業ではバイクの高価格モデルのKey Less事業が好調で売上げの下支えとなりましたが、やはり昨今の自動車産業の冷え込みの影響は大きく、全体としては減収でした。
収益面では稼ぐ力を表す営業利益は相応の結果を得ましたが、6月にアメリカFOMCが9月以降の政策金利引き下げを示唆したことにより、8月中旬より金利引下げ幅の拡大を懸念した市場は、ドルとバーツとの金利差縮小との憶測に異常反応が起こり、為替が一気にバーツ高動き始めました。
6月30日TTBレート36.69が9月30日の決算レートは最高値の32.12となり、3ケ月間で4.57バーツ=12.5%のバーツ高になりました。為替予約を用いて対抗措置は講じましたが、バーツ高の加速スピードに追い付かず、その結果Q4にて2億9千8百万バーツの為替差損の計上が2024年度の収益を大きく減少させました。
当社をとりまく環境は日々変化しています。その中でも製品やサービスをお客様に提供していくうえで意識しておくことに「環境」があります。温室ガス排出量などの問題もあり、企業は継続した運営を行う上で課題への対応、環境に配慮した活動が求められています。当社もこうした環境問題に取り組むためにRenewalエネルギーの使用、節電機器への投資など環境を重視した事業活動を行っています。
当社は1987年にタイに進出し、37年が経過いたしました。企業としてさまざま経験を積み重ね、その間株主の皆様をはじめ、多くの関係者のご縁を得て今日に至っております。引き続き当社事業に格別のご支援とご厚情を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
2024年10月
Chairman
村元 陽一